・1回60分、週3回、8週間のヨガによりアレルギー性鼻炎の症状が軽減したという研究。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31421665/
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Chanta A, Klaewsongkram J, Mickleborough TD, Tongtako W. Effect of Hatha yoga training on rhinitis symptoms and cytokines in allergic rhinitis patients. Asian Pac J Allergy Immunol. 2022 Jun;40(2):126-133. doi: 10.12932/AP-260419-0547. PMID: 31421665.
アレルギー性鼻炎患者の鼻炎症状およびサイトカインに対するハタヨガトレーニングの効果
全文→ https://apjai-journal.org/wp-content/uploads/2022/05/7_AP-260419-0547.pdf
【背景】
アレルギー性鼻炎は、アレルゲンに反応した鼻粘膜の炎症である。ヨガが個人の健康を改善し、免疫機能に良い影響を与えるというエビデンスがある。しかし、アレルギー性鼻炎患者におけるハタヨガのトレーニングが鼻炎症状やサイトカインに及ぼす影響については、まだ不明である。
【目的】
アレルギー性鼻炎患者の鼻炎症状およびサイトカインに対するハタ・ヨガ・トレーニングの効果を調査する。
【対象者および方法】
アレルギー性鼻炎患者27名を対照群(CON; n = 14)とヨガ群(YOG; n = 13)の2群に無作為に割り付けた。CON群は通常の活動を続け、YOG群はハタヨガのトレーニングを1回60分、週3回、8週間行うというプロトコルを課した。ヨガトレーニングの前後で、生理的特徴、アレルギー性鼻炎の症状、サイトカイン分泌を比較分析した。
【結果】
8週間後、YOGグループはテスト前と比較して、ピーク鼻腔吸気流量(PNIF;peak nasal inspiratory flow)が増加し、鼻炎症状と鼻腔血流量(NBF;nasal blood flow)が有意に減少した。さらに、YOG群はCON群に比べ、インターロイキン(IL)-2の鼻腔内分泌量が有意に高かった。
【結論】
今回の結果から、8週間のハタヨガトレーニングは、臨床的なアレルギー性鼻炎とサイトカインプロファイルの改善により、アレルギー性鼻炎に有益な効果をもたらすことが示された。
The Hatha yoga training regimen consisted of 10 minutes of warm-up (I: seated mountain pose [dynamic], neck stretch pose, simple opener hip pose, and lateral twist pose; II: seated sun pose, boat pose [dynamic], spread leg forward bend, seated forward bend, and seat twist pose).
This was followed by a workout for approximately 40 min including two sets, such as set I: mountain pose, standing sun pose, standing forward bend, lunge pose, push-up pose, lifted hip pose, upward facing dog pose, downward facing dog pose, lunge pose, standing forward bend, standing sun pose, and mountain pose (3 times/set) and set II: warrior pose, triangle pose, modified dancer pose, eagle pose, seat- ed twist pose, head to knee pose, bow pose, cat pose, child pose, supine twist pose, half bridge pose, half shoulder stand pose, and fish pose (3 times/set), followed by a cool down for 10 minutes (meditation, alternate nostril breathing, and corpse pose).
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・ヨガの精神的ウェルビーイング
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37034922/
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Bös C, Gaiswinkler L, Fuchshuber J, Schwerdtfeger A, Unterrainer HF. Effect of Yoga involvement on mental health in times of crisis: A cross-sectional study. Front Psychol. 2023 Mar 22;14:1096848. doi: 10.3389/fpsyg.2023.1096848. PMID: 37034922; PMCID: PMC10074601.
危機的状況下においてヨガがメンタルヘルスに及ぼす影響: 横断的研究
【背景】
ヨガへの熱意”Yoga involvement “は、ヨガの哲学的/精神的な教えへの没頭の度合いとして理解することができる。これまでの研究では、ヨガへの熱意”Yoga involvement “と精神的健康mental healthとの間に正の相関があることが示されている。
【目的】
本研究では、COVID-19のパンデミックによって引き起こされた世界的な危機の中で、ヨガへの熱意”Yoga involvement “が心理的幸福psychological well-beingと苦痛distressのいくつかのパラメータに及ぼす影響について調査する。
【対象者および方法】
246名の参加者(女性216名、ヨガ118名、年齢を合わせたピラティス128名)が本研究に参加した。
下記スケールをオンライン調査により実施した。
・WHO-Five Well-Being Index
・ Multidimensional Inventory for Religious/Spiritual Well-Being short version
・Leipzig Short Scale of Sense of Coherence
・Brief Symptom Inventory and the Yoga Immersion Scale (対照群はPilates Immersion Scaleに修正)
※ “Sense of Coherence”=首尾一貫感覚:自分の生きている世界は首尾 一貫しているという感覚。ストレス対処・健康保持能力についての概念であり, 健康生成論をその背景理論として,健康社会学者であるAaron Antonovsky によって提唱された。参考:https://www.hws-kyokai.or.jp/images/ronbun/all/201306-04.pdf
【結果】
結果は以下の通り:
ヨガ実践者では、ピラティス対照群に比べ、全般的に involvement熱意がより高かった。
さらに、ヨガの実践は、宗教的・精神的なウェルビーイングreligious/spiritual well-being の増加と首尾一貫性の減少に関連したが、心理的ウェルビーイングや心理的苦痛とは関連がなかった。
Involvement 熱意は、一般に、心理的ウェルビーイング、宗教的/精神的ウェルビーイング、首尾一貫感Sense of Coherenceを肯定的に予測したが、心理的苦痛との関連はなかった。
さらに、 Involvement 熱意は、ヨガ実践と宗教的・精神的ウェルビーイングとの正の関係を媒介し、ヨガ実践の首尾一貫感に及ぼす負の効果を抑制した。
ヨガグループの参加者は、ピラティスグループの参加者よりもスピリチュアリティや自己発見のためにヨガを始める傾向があり、全体的に、より高いレベルのinvolvement(≒熱意)と関連していた。
したがって、ヨガはピラティスよりもアイデンティティを形成する実践であり、実践者が世界をどのように経験するかを深く形成するように思われる。
【結論】
特定のリラクゼーションプラクティスへの Involvement 熱意がポジティブな影響を与えることを示唆しており、精神的ウェルビーイングに対するヨガの影響を理解する上で重要な要素になる可能性がある。
Involvement 熱意がどのように変化し、ウェルビーイングにどのように影響するかをより具体的に説明するためには、臨床群を含むさらなるランダム化比較研究が必要である。
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・ヨガやピラティスと疲れ目の関係について
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36556992/
Sung YH. Suboccipital Muscles, Forward Head Posture, and Cervicogenic Dizziness. Medicina (Kaunas). 2022 Dec 5;58(12):1791. doi: 10.3390/medicina58121791. PMID: 36556992; PMCID: PMC9786116.
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この論文によると、
後頭下筋群(大後頭直筋、小後頭直筋 、上頭斜筋 、下頭斜筋)は、
(1)姿勢維持に関与する遅筋線維が主体である、
(2)これらの筋の付着位置は、運動を誘発するには力学的に非効率であり、また深層に位置する短いサイズである。
(3)高い筋紡錘密度、筋紡錘の特殊な特徴を示し、ゴルジ腱器官(GTO)はほとんどない、
という特徴を持つ。
したがって、これらの筋の主な機能は以下のようにまとめられる。
(1)前庭や眼球の入力による感覚情報を伝達するセンサーとして機能し、上部頸椎の監視や認識を助ける、
(2)頭頸部の運動のオペレーターとしてではなく、上部頸椎の安定化として働く、
(3)頭部の位置や正確な動きを制御し、眼と頭部運動の協調に役立つ
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・ピラティスやヨガが健康増進行動や主観的健康状態に与える影響について
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【背景】
身体的にも心理的にも健康的な生活を送るためには、運動が不可欠であるという考え方は、今や議論の余地がない。
医学的にも公衆衛生的にも重要な課題である。
ピラティスとヨガが身体への直接的なメリットを示唆する研究は多数存在する。
しかし、ピラティスやヨガが二次的、間接的な効果をもたらすかどうかは、あまり知られていない。健康的な生活を送るためには、一般的に身体的・心理的な健康に役立つとされるライフスタイルを幅広く取り入れ、自分の健康についてポジティブな考えを持つことが必要かもしれない。
【目的】
ピラティスやヨガへの参加が健康増進のための行動を誘発し、参加者の心身の健康状態の自己評価にポジティブな影響を与えるか、身体的・精神的ウェルビーイングの上昇をどの程度伴うかどうかを検討する。
【対象者および方法】
ピラティスやヨガ未経験の男女30-49歳(平均年齢35.47歳)の成人ボランティア90名が対象。
被験者を無作為に3つのグループに分けた。
・ピラティスグループ
・ヨガグループ
・コントロールグループ;どちらの運動クラスにも参加しない
すべての参加者は、
健康増進ライフスタイル・プロフィール(HPLP II)と健康自己評価尺度(HSRS)の2つのアンケートに、それぞれのプログラムの前後に回答した。
・Health Promoting Lifestyle Profile (HPLP);
HPLP II は4 点リッカート スケールを使用し、スコアが高いほど健康増進活動への参加が多いことを示し、52 項目で構成
・The Health Self-Rating Scale (HSRS); 健康の質の包括的な自己評価
ピラティスグループ、ヨガグループが行ったエクササイズプログラムは以下の通り。
・1時間のセッションを週3回、8週間のエクササイズプログラム。
・ピラティスは経験3年以上のBalanced Body instructors、ヨガも同等の指導者が担当。
・運動頻度:週3回
・運動強度:初級/中級(6回×3セット)
・運動時間:1回50分(ウォームアップ、クールダウンを含めて1時間セッション)
・エクササイズの種類 ;ピラティス(マット)、ヨガ
ピラティスエクササイズの目的と注意点
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8038747/table/ijerph-18-03802-t0A1/
ヨガエクササイズの目的と注意点
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8038747/table/ijerph-18-03802-t0A2/
ピラティスプログラム
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8038747/table/ijerph-18-03802-t0A3/
ヨガプログラム
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8038747/table/ijerph-18-03802-t0A4/
【結果】
プログラム終了後、ピラティスとヨガのグループは、コントロールグループよりも健康増進行動への取り組みが高いことが示された。
また、HSRSで測定した主観的な健康状態も、プログラム終了後、ピラティスやヨガの参加者はコントロールグループに比べ、有意に改善した。
ピラティスグループは、自己評価による健康増進行動と健康状態に対応するHPLP IIとHSRSの2つの指標で最も大きな改善を認めた。
(→ 全体的な結果としては、ピラティス>ヨガ>コントロール )
これらの影響に性別による有意な差は認められなかった。
【結論】
ピラティスとヨガが参加者の健康増進行動を促し、主観的な健康状態についてポジティブな信念を抱かせ、それによってポジティブな強化のサイクルが動き出す。
ピラティスやヨガの普及が、個人の健康に悪影響を及ぼす行動を変えるための効果的な介入戦略として役立つという明確な証拠を提供することで、本研究は、医療従事者や公衆衛生当局に実用的な示唆を与える。
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・骨盤底筋トレーニングにヨガのポーズが効果的であるという研究。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37247569/
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ヨガのポーズを選択した際の骨盤底筋の相対的活性化
Blagg M, Bolgla L. The relative activation of pelvic floor muscles during selected yoga poses. Complement Ther Clin Pract. 2023 May 19;52:101768. doi: 10.1016/j.ctcp.2023.101768. Epub ahead of print. PMID: 37247569.
【背景】
骨盤底筋pelvic floor muscle(PFM)機能障害を持つ患者には、体幹の安定化エクササイズが有効である。
ヨガは、中程度から高い体幹の活動を生み出すことができるポピュラーな活動であり、この患者集団に有益であることが示されている。ヨガ中のPFMの活動に関するデータは存在しない。PFMの活動を決定することは、エビデンスに基づいた運動プログラムを開発するための重要な情報を提供することになる。
【目的】
ヨガのポーズのPFMの相対的な活性化を明らかにすること。
【対象者および方法】
クロスセクションデザイン。
肛門周囲表面EMGセンサーを使用して、肛門挙筋 levator ani (LA)の活性化を捉えた。
最大随意等尺性収縮 maximum voluntary isometric contraction(MVIC)のピーク時の活動は、100%の活動を表す。
テストでは、被験者は次のポーズを30秒間保持した:
・ローカスト locust
・モディファイドサイドプランク modified side plank;
・サイドアングル side angle
・両手を握りしめたフロントプランク hands-clasped front plank.
各ポーズの5秒から25秒までのEMG活動の平均値を、MVICの100%(%MVIC)として表現し、分析した。
【結果】
ローカストで最も活動的であった(63.5 %MVIC).サイドアングル(35.3 %MVIC)は、サイド(29.1 %MVIC)およびフロントプランク(26.3 %MVIC)よりも大きな活動を必要とした。ローカストの活動量は、すべてのポーズよりも有意に大きく(P < 0.001)、サイドアングルの活動量は、フロントおよびサイドプランクよりも有意に大きかった(P < 0.01)。
【結論】
ローカスト中のLA活性は非常に高く、筋力増強に十分であった。
サイドアングル、フロントプランク、サイドプランク時のLA活性化は、持久力および/またはPFMの神経筋制御の向上に最適であると考えられる。
本研究で得られた知見は、ヨガのポーズによってPFMの活性化レベルが異なることを示し、PFM機能障害に関連する病態を持つ患者に有益であると考えられる。
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・ヨガ、瞑想が子どもの注意欠陥・多動性障害(ADHD)にポジティブな影響を与えたという研究。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37065343/
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Gonzalez NA, Sakhamuri N, Athiyaman S, Randhi B, Gutlapalli SD, Pu J, Zaidi MF, Patel M, Atluri LM, Arcia Franchini AP. A Systematic Review of Yoga and Meditation for Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder in Children. Cureus. 2023 Mar 14;15(3):e36143. doi: 10.7759/cureus.36143. PMID: 37065343; PMCID: PMC10101238.
子どもの注意欠陥・多動性障害(ADHD)に対するヨガと瞑想の系統的レビュー
【背景】
注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、神経発達障害に分類される。有病率は、子どもで約5%、成人で約2.5%と推定されている。ADHDの人は、注意を払うことに苦労し、常に活動的でありたいという衝動を経験し、衝動的である。ADHDの子どもは、社会的に溶け込むこと、仲間を見つけること、対人関係を形成することに苦労することが多い。この疾患が小児のQOLに及ぼすさまざまな悪影響を認識することは不可欠である。
治療として薬物療法、認知行動療法(CBT)などがあるが、症状を改善する補助療法として、ヨガと瞑想がある。
【目的】
ヨガや瞑想などの、ADHDに対する治療法としての可能性を評価すること。
【対象者および方法】【結果】
文献データベースPubMedとGoogle Scholarから検索、51,675件の論文から、スクリーニングと品質チェックを通過した10件の論文を選び、詳細な分析を行った。
ヨガや瞑想は、ADHDの子どもたちの注意力、多動性、衝動的な行動など、さまざまな症状にポジティブな影響を与えることが確認された。
また、家族のグループセッションで行えば、両親や家族のダイナミクスにも効果があり、家族療法の選択肢の可能性が示唆された。
さらに、不安や低い自尊心など、他の心理的症状も、これらの介入によってプラスの影響を受ける。
【結論】
ヨガと瞑想はADHDの子どもたちにポジティブな影響を与えた。
ヨガと瞑想はADHDの治療法として単独で使用するよりも、補助的な治療法として有益である可能性がある。
しかし、研究の数が限られており、より大規模で質の高い研究が必要である。
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・DVDを使用した自宅でのヨガ実践が、月経前症候群の症状緩和に有効的であるという研究。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37108027/
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Chang HC, Cheng YC, Yang CH, Tzeng YL, Chen CH. Effects of Yoga for Coping with Premenstrual Symptoms in Taiwan-A Cluster Randomized Study. Healthcare (Basel). 2023 Apr 21;11(8):1193. doi: 10.3390/healthcare11081193. PMID: 37108027; PMCID: PMC10138357.
台湾における月経前症状への対処のためのヨガの効果-クラスター無作為化研究
【背景】
月経前症状の有病率は世界中で48~90%であり、女性の約20%が生活の質に影響を与えるほど重度の月経前症状を経験していることが示されてる.
有資格の経験豊富なヨガインストラクターが個人指導するヨガエクササイズが、女性の月経前症状を緩和することが示されている。しかし、ガイド付きヨガDVDプログラムを用いた家庭でのヨガ練習が、これらの症状を効果的に緩和できるかどうかを調査する研究はまだ行われていない。
【目的】
女性の月経前症状を緩和するための在宅ヨガプラクティスの有効性を検討する。
【対象者および方法】
本研究は、クラスター無作為化試験である。1つ以上の月経前症状を有している女性128名が登録された(ヨガ群65名、対照群63名)。ヨガ群の女性には、ヨガDVDプログラム(30分)が提供され、週3回以上、3回の月経周期中、実践してもらった。参加者全員に、月経前症状を測定するためのDaily Record of Severity of Problems(DRSP)フォームを配布した。
ヨガDVDプログラムの内容は以下。
◆ Five minutes for warming up from head to belly.
◆ Twenty minutes of asana practice, including Surya Namaskar (sun salutation), Supta Baddha Konasana (reclining bound angle pose), Supta Padangusthasana (reclining hand-to-big-toe pose), Upavistha Konasana (seated wide-angle pose), and Psrsva Virasana (side twisted hero pose).
◆ Five minutes of Ardha Padmasana (half lotus pose).
【結果】
ヨガ介入後、ヨガ群は、月経前の抑うつ症状、身体症状、怒り・イライラが統計的に有意に少なく、かつ/または、軽くなっていた。また、その他の障害や、日常生活、趣味・社会活動、人間関係の障害も、ヨガ群で有意に少なくなった。
【結論】
月経前症状の緩和にヨガが有用である。さらに、パンデミック時代には、家庭でのヨガの実践がより適切である。
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・アロマテラピーヨガは、女子大生が経験する睡眠障害を改善する可能性があるという研究。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36141298/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9498771/
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Gao Y, Wang JY, Ke F, Tao R, Liu C, Yang SY. Effectiveness of Aromatherapy Yoga in Stress Reduction and Sleep Quality Improvement among Chinese Female College Students: A Quasi-Experimental Study. Healthcare (Basel). 2022 Sep 4;10(9):1686. doi: 10.3390/healthcare10091686. PMID: 36141298; PMCID: PMC9498771.
中国人女子大生のストレス軽減と睡眠の質向上におけるアロマテラピーヨガの有効性: 準実験的研究
【背景】
大学生、特に女子学生は、深刻なストレスと睡眠不足に悩まされることが多い。アロマテラピーヨガは近年人気のエクササイズであり、ストレスの軽減と睡眠の質の向上に役立つと考えられるが、実証的な証拠は限られている。
【目的】
中国の女子大生を対象に、アロマセラピーヨガの介入によるストレス軽減と睡眠の質向上の効果を調査する。
【対象者および方法】
平均年齢19.88±1.13歳の実験群(アロマセラピー・ヨガ)44名、対照群(ヨガ)45名、合計89名がこの準実験研究に登録されました。
介入は、それぞれのグループで週1回、12週間、1回90分行われた。介入前後のストレス軽減と睡眠の質の違いについては、Wilcoxon符号順位検定とMann-Whitney U検定(効果量含む)を用いて検証した。
ヨガメニューに関しては以下の通りである。
ヨガレッスンは、ヨガの資格を持つ講師が担当し、カリキュラム内容は以下のように記載されている: まず、参加者は約15分間、息を止めて呼吸を整える。その後、横隔膜呼吸から腹式呼吸に切り替えた。呼吸の時間を徐々に長くし、心身の落ち着きを促した後、次の段階へ進む。アーサナエクササイズは、全体で約1時間でした。ウォームアップとして太陽礼拝の姿勢から始まり、コブラの姿勢、下向きの犬、戦士の姿勢、三角形の姿勢、船の姿勢、牛の顔の姿勢、英雄の姿勢1、英雄の姿勢2など、さまざまなアーサナが行われました、 三角ねじり姿勢、背骨ねじり姿勢、座骨角度姿勢、子供姿勢、魚姿勢、車輪姿勢、イナゴ姿勢、ラクダ姿勢、肩立ち、鋤姿勢、そして最後に死体姿勢が行われました。その後、15分間の瞑想を行い、呼吸を整えた。
【結果】
どちらのセラピーも女子学生のストレスレベルや睡眠衛生を有意に改善するものではなかった。
しかし、アロマテラピーヨガは、女子大生が経験する睡眠障害を改善する可能性が示唆された。
さらに、アロマセラピーヨガグループと通常のヨガグループとの間では、介入前後でストレスの量や睡眠の質に差はなかった。
【結論】
本研究は、アロマテラピーヨガの介入が女子大学生の睡眠障害を改善する可能性を示唆している。しかし全般的に、アロマテラピーヨガは女子大学生のストレスレベルや睡眠衛生を改善するものではなかった。より多くの実証研究が必要である。
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・個人に対するテーラーメードのヨガが、不眠症を主観的、客観的に改善させたという研究。
https://bmcpsychiatry.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12888-022-03936-w
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Turmel, D., Carlier, S., Bruyneel, A.V. et al. Tailored individual Yoga practice improves sleep quality, fatigue, anxiety, and depression in chronic insomnia disorder. BMC Psychiatry 22, 267 (2022). https://doi.org/10.1186/s12888-022-03936-w
個人に合わせたヨガの実践は、慢性不眠症の睡眠の質、疲労、不安、およびうつ病を改善させる
【背景】
慢性不眠症(Chronic insomnia disorder (CI) )は、疲労、気分障害、不安やうつ病など様々な病態と密接に関連する睡眠障害である。
睡眠の誤認により、不眠症の患者は、睡眠ポリグラフ(PSG)による客観的評価と比較して、自分の睡眠問題の大きさを過大評価する傾向がある。
第一選択治療は認知行動療法(CBT-I)である。太極拳やヨガなどの他の心身医学的介入は、睡眠の質の主観的な改善を示している。
【目的】
CI患者において、主観的および客観的な睡眠の質、不安、抑うつ、眠気、疲労の測定値の改善に対するヨガの効果を評価すること。
【対象者および方法】
ベルギーのサンピエール大学病院の睡眠病棟で行われた前向き単群事前事後研究。成人のCI患者が対象。ベースラインとヨガプログラム終了時に、主観的および客観的な睡眠の質、不安、抑うつ、眠気、疲労が評価された。
ベースライン評価には、自宅睡眠ポリグラフ(PSG)、7日間アクティグラフ、アンケート(ピッツバーグ睡眠質指標アンケート(PSQI)、病院不安抑うつ尺度(HADS)、エプワース眠気尺度(ESS)、ピショー疲労尺度(PS))が含まれた。
患者は、Viniyogaと呼ばれる個人に合わせたヨガを14週間実践した。
評価は、ヨガの実践が終了した時点で繰り返された。
ヨガスタジオで対面して行われた4回のセッションの後、14週間にわたって、個人に合わせて作られたヴィニーヨガを毎日自分で実践。5分から30分を、1日2~3回。週末に対面セッションを行い調整。
第1週目(1時間30分):患者の不眠症の問題を深く理解するために、対話が開始された。プラクティスは、指導者と患者の共同で、患者の特性に合わせて個別にデザインされた。
3週目(1時間):患者からのフィードバックに基づき、練習方法を見直し、調整した。
8週目(1時間): 練習方法を再度検討し、微調整を行った。
14週目(1時間30分):ヨガプログラム全体を報告し、ヨガを独立して継続するための最終的な推奨事項を患者に提示した。
このように、毎回の対面セッションで評価が行われ、患者は必要に応じてヨガの先生に連絡を取り、練習内容を確認することができた。
※ヴィニーヨガの真髄は、患者一人ひとりに合わせて練習方法を調整することです。これは、患者さんが練習を継続するために不可欠なことです。個別相談では、患者さんのニーズに合わせて練習を行うために、患者の状況を考慮しました:睡眠の問題の性質(入眠困難、中途覚醒、再入眠困難、早朝覚醒、日中の疲労など)、練習に使える時間、患者個人の状況(生活環境、子供を持つ親、高齢者)、ライフスタイル(飲食習慣、睡眠前の活動の性質)です。ヨガ指導者は、練習の長さよりも、定期的に(つまり毎日)練習することの重要性を強調しました。また、新しい集中の仕方を定着させるために、日中にいくつかのエクササイズが行われました。エクササイズの性質上、患者がほとんどどこでも練習できるようにした。寝室で、眠る直前、夜が途切れたらベッドで、朝起きたらデスクで、公共交通機関で、公共の場で、頻繁に、定期的に練習できるようにしたのである。提供されたエクササイズはすべて、患者さんが十分に自律して自宅で自分で練習できるようになるまで、実際に患者さんと一緒に練習しました。これも、患者さんが毎日練習するために必要なことでした。
運動中や運動後に痛みを感じるのが普通であるスポーツとは異なり、ヴィニーヨガでは、患者が自分の体を尊重することを学ぶことを重視しています。ヴィンヤサ・クラマと呼ばれる段階的な練習が毎週行われ、またその練習の中でも行われました。この進行によって、患者は安全に、自分の限界の中でヨガの練習ができるようになったのです。練習は5分から30分を、1日2~3回。
【結果】
2017年11月から2020年12月にかけて、45名の患者をスクリーニングし、23名を組み入れた(男性9名)。非組み入れの理由は、診断からYogaコースまでの期間が長い(=12)、モチベーションの低下(n=8)、医学的問題の新たな発症(n=2)であった。各患者は睡眠改善のためのヨガを試すボランティアであり、21/23人がプログラムを完了した。2名は途中で中断した。1名は出産後、1名は重篤な健康問題に見舞われたためである。平均的な症状の持続期間は13ヶ月であった。
客観的な睡眠測定では、ヨガの練習後、PSGパラメータに変化はなかったが、アクチグラフでの覚醒が減少した(p < 0.001)。
主観的症状はすべての質問項目で改善した(PSQI, p < 0.001; HAD-A, p = 0.020, HAD-D, p = 0.001, ESS, p = 0.041, PS, p = 0.010 )。一変量相関では、PSQIの低下はPSGにおける睡眠段階N3の上昇(p<0.001)と関連していた。
【結論】
個人に合わせたヨガの実践が、慢性不眠症(CI)における睡眠と日中の症状に関する主観的パラメータに良い影響を与え、客観的なアクティグラフでの覚醒を減少させた。
ヨガは、長期にわたって自律的に練習することが容易であるため、CIにおけるCBT-Iに代わる有用な方法として提案することが可能であろう。しかし、本研究のデザインからすると、今後の前向きな対照研究によって、まず我々の結果を確認する必要がある。
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・高齢化、生活習慣の欧米化などで本邦でも増加している心不全を軽減するためにヨガが効果的であるという研究。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35444368/
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Jain AK, Subhash CM, Bhola SV, Kushal M, Ashwini M, Jitendrapal SS. Effect of Yoga Lifestyle in Patients with Heart Failure: A Randomized Control Trial. Int J Yoga. 2022 Jan-Apr;15(1):40-44. doi: 10.4103/ijoy.ijoy_183_21. Epub 2022 Mar 21. PMID: 35444368; PMCID: PMC9015083.
心不全患者におけるヨガの効果:無作為化対照試験
【背景】
心不全の治療には大きな進歩があるものの、罹患率や死亡率は依然高い。さらなる治療戦略が求められている。
ヨガが心不全の病態生理学的異常、すなわち神経ホルモン、自律神経系の障害、炎症、酸化ストレスを是正する可能性がある。
【目的】
心不全患者におけるヨガの効果を検討する。
【対象者および方法】
安定した病状、比較的軽症(NYHA1-2)、心臓ポンプ機能軽〜中等度低下(LVEF30-40%)の心不全患者60名が対象の無作為化比較試験。
対象者を、対照群(CG)とヨガ群(YG)に無作為に割り付けた。
CGはガイドラインに基づいた治療を受け、YGはそれに加えて毎日1時間、3ヶ月間ヨガを実践した。
YGは、訓練を受けたヨガインストラクターによるヨガトレーニング(アーサナ+プラナヤマ+瞑想)を1週間受けた後、自宅で毎日約60分のヨガを継続するよう指示された。各セッションでは、まず10分間、思考を現在に集中させ、身体の内側に意識を向けさせ、その後30分間アーサナを行い、20分間は呼吸法(プラナヤマ)を含む瞑想とリラクゼーションを行った。
ベースライン時と3ヶ月後に、QOL、CRP、NTProBNP、LVEFを評価した。
なお、QOLはMinnesota living with heart failure questionnaire(MLHFQ) スコアで評価した。MLHFQスコアが低いほど、QOLが良いことを示す。
QOL:生活の質
LVEF:左心室駆出率=心臓のポンプ機能(値が高い方が良い)
CRP:炎症(値が低い方が良い)
NTproBNP:心臓に負担がかかると上昇するホルモン(値が低い方が良い)
【結果】
対照群(CG)とヨガ群(YG)両群の背景は類似。平均年齢は両群ともに52歳、男性7-8割、女性2-3割。
12週間後、CGと比較して、YGでは4つのパラメータすべてに有意差が認められた(P < 0.01)。
MLHFQ:YG(22.7→10.2)はCG(21.0→14.1)と比較して有意に改善した(54% VS 33%, P < 0.001)。
LVEF:YG(33.4→36.8%)はCG(33.3→35.2%)と比較して有意に改善した(10% VS 5%、P = 0.001)。
NTproBNP:YG(755→220pmol/l)はCG(679→406pmol/l)と比較して有意に改善した(69.8% VS 39.3%, P < 0.001)。
CRP:YG(5.36→2.73 mg/L)はCG(5.39→3.45 mg/L)と比較して有意に改善した(49.3%VS 35.8%、P = 0.007)。
【結論】
このパイロット研究の結果は、心不全患者に対するガイドラインに基づいた治療にヨガを加えることで、QOL、LVEF、NTproBNPが有意に改善し、CRP値が減少することを示唆するものであった。これらの知見を確認するために、より大規模な研究が必要である。
このコンテンツはリンクのプレビューです。pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
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・高血圧や慢性疾患を有する女性の血圧や心拍数が、6週間のヨガにより下がるという研究。
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Kaleeswari, G.; Kalyani, C. Vasantha; Jayarani, J. S.; Rohilla, Kusum K. Effect of yoga on pulse rate and blood pressure among women, Journal of Family Medicine and Primary Care: October 2021 – Volume 10 – Issue 10 – p 3670-3674
doi: 10.4103/jfmpc.jfmpc_113_21
女性の脈拍と血圧に及ぼすヨガの効果
【背景】
過去数十年にわたる人間のライフスタイルの変化に伴い、現在では国際保健機関(WHO)も慢性疾患の治療とともに予防に重点を置いている。30~45歳の女性は、体重増加により高血圧や心臓病のリスクが高まることが研究で示されている。ヨガは、血圧や脈拍などの生理的変数をコントロールするのに有効な方法である。
【目的】
女性の生理学的変数に対するヨガの効果を確認すること。
【対象者および方法】
高血圧の診断は受けていないがなんらかの慢性疾患を有し医療機関に通院治療し、ヨガ未経験の女性40人(平均年齢40.6歳)を対象とした。
試験開始前に、病歴や各種情報を収集、血圧、脈拍など測定。
ヨガ群と対照群の2群に無作為に割り付けた。
ヨガ群は、ベテランのヨガ指導者の元、1セッション45分、週5日、6週間のヨガを行った。(具体的メニューは添付)
対照群では、従来の治療を行った。
6週間の介入後、再度、血圧と脈拍測定等を両群で行った。
参加者は全員、研究期間中、他のタイプのヨガ関連活動に参加することを控えた。
【結果】
6週間のヨガトレーニングにより、ヨガ群の血圧、脈拍数は有意に減少した。
収縮期血圧146.8→140.2mmHg
拡張期血圧86.7→80.2mmHg
脈拍数80.4→77.0bpm
対照群は、試験前後で有意な変化は認めなかった。
6週間のヨガトレーニング後、ヨガ群と対照群の間で、各パラメーターに有意な差が見られた。
【結論】
ヨガは、慢性疾患患者の血圧と脈拍をコントロールする効果的な方法となり得る。
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・1回のヨガのセッションで血圧低下、心拍数低下の即効性があったという研究。
http://ymerdigital.com/uploads/YMER210405.pdf
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Sridar P, Palani S. Analysis of the effects of yoga on blood pressure and heart rate in college athletes focusing on a single session. YMER. 2022;21(04):54-63.
大学生アスリートにおけるヨガが血圧および心拍数に及ぼす影響について、1回のセッションに焦点を当てた分析
【背景】
ヨガは、強さ、持久力、バランス、柔軟性、リラクゼーションを一度に得られるエクササイズであり、近年、ヨガが人間のシステムに与えるポジティブな効果について研究されている。その中でも特に重要なのが心血管系である。
現代的な生活習慣の影響で若年層においても心血管疾患が見られるようになってきており、同世代においても心血管系パラメーターの管理は重要である。
【目的】
大学生アスリートにおいて、1回のヨガセッションが血圧や心拍数に及ぼす影響について分析する。
【対象者および方法】
インドの大学生アスリート55名(21~25歳)が対象。
参加者は15分間、心身ともに平静を保った。
その後、血圧と心拍数をそれぞれ血圧計とパルスオキシメーターで記録した。
その後、ウォームアップとヨガのセッションが行われた。ヨガセッションには多くのアーサナが含まれる。
(下に、具体的な方法を記載)
すべてのアーサナを行った後、再び血圧と心拍数を測定した。
その後、10分間のリラクゼーションを行い、再度、血圧と心拍数の測定を行った。
【結果】
ベースライン、ヨガ後、リラックス後の3つの時間において、SBP、DBP、HRに有意差が認められた(p<0.05)
収縮期血圧SBP 126.9→111.9→108.8mmHg
拡張期期血圧DBP87.6→80.0→76.3mmHg
心拍数HR 91.4→86.9→81.0bpm
【結論】
大学生アスリートにおいて、1回のヨガセッションに集中することで、ベースライン、ヨガ後、リラックス後の3つの時間間隔において、収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数に減少がみられた。
参考までに、論文に記載されていた具体的なヨガの方法を転載しておきます。自動翻訳です。
アーサナを行う手順
1 ヴリクシャーサナ
– まずタダーサナの姿勢をとり、地面にまっすぐ立ち、足の間隔を少しあけます。体重は片足に移し、例えば左足から始めます。足裏全体は床に接したままです。右膝を曲げ、右足を左の内腿に乗せるか、半跏趺坐をする。
– どちらの足の置き方でも、腰は開き、右膝は前に出さず、右のほうを向くようにする。右足のつま先を真下に向け、左足、骨盤の中心、肩、頭がすべて垂直になるようにする。両手は頭の上で、真上を向いて握らないか、一緒に握ります。
– 背骨を伸ばすために20秒から60秒保持し、息を吐きながらタダーサナに戻り、反対側の足で立つことを繰り返すのが一般的なアサナです。
2 パールヴァターサナ
– 両手と両膝を立てて始めます。
– 膝を上げ、かかとを地面に向かって押し戻します。
– 頭と肩を膝の方向へ持っていきます。
– 肩の力を抜いて、腰から体重がかかるようにします。
– 心地よい程度に長く滞在してください。
3 シャシャンカサナ
– 金剛掌(カミナリのポーズ)または膝立ちのポーズで座ります。両手を太ももに置き、リラックスした状態で呼吸をします。
– 両手を頭の上に上げ、手のひらを前に向けます。腕は肩と一直線になるようにします。
– ゆっくりと体を倒し、両手を前に出し、手と額が地面につくまで倒します。あなたが前方に曲がっている間、息を吐き出す。
– 最後の位置では、額と手が地面に残ります。あなたが快適である限り、この位置で休息します。最終ポジションでは、ゆっくりとしたリズミカルでリラックスした呼吸をすることができます。
– ゆっくりと息を吐きながら、元の姿勢に戻ります(土下座のポーズ)。
– このプロセスを、時間と快適さに応じて5〜10ラウンド繰り返します。
4 ブジャンガーサナ(Bhujangasana
– 手のひらと脚を床につけたうつぶせの姿勢から、胸を持ち上げます。
5 パヴァナムクタサナ(Pavanamuktasana
– 最初のステージでは、ヨギは背中を伸ばし、足を伸ばして横になる。
– 右膝を曲げて両手で持ち、腹部へ押し付ける。息を吐きながら、頭を上げ、膝を顎で触ります。 息を吸いながら、脚をまっすぐに伸ばします。
– 第2ステージでは、左足でお腹を押さえます。第三段階は 顎を膝の間に入れ、両足でお腹を押さえる。この姿勢から、体を前後に5~10回、左右に5~10回振ります。
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・ヨガが大学生のストレスレベルを軽減するという研究。
https://www.jagannathuniversity.org/assets/jnu-docs/jurj/publication-paper/1647836389-jurj221121.pdf
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Effect of Yoga on Perceived Stress Level of College Students
Jagannath University Research Journal (JURJ) Volume No.-II, Issue No.–II, November, 2021
大学生の知覚的ストレスレベルに対するヨガの効果
【背景】
ストレスは、生物とその環境との間の均衡を乱す傾向にあるあらゆる状況として定義することができます。
大学生は、学業上のプレッシャー、家族の期待、個人の期待、時間管理、経済的制約、試験、競争、教育目標達成への苦労、仕事の見通しなど、多くのストレスがある。慢性的なストレスは、精神的、生理的、行動的反応に永続的な変化をもたらすことがあり、さらに学業成績の低さとも相関がある。
ヨガでは、心がニュートラルな状態になることで、精神的な疲労を和らげることができる。
【目的】
大学生の知覚ストレスレベルに対するヨガの効果を評価すること。
【対象者および方法】
男女70名の大学生(17-20歳)を無作為抽出し対象とした。
学生のストレスレベルを判定するために、知覚ストレス尺度14(Perceived Stress Scale-14;PSS-14))、ストレス症状尺度Stress Symptom Scale;SSS)を使用し、ヨガの介入前のデータを取得した。
ヨガグループの被験者は1ヶ月間、毎日約30分のヨガの介入を受け、対照グループは何も介入を受けなかった。
ヨガのメニューの概要は以下。
Pranayama
Bhastrika 2-3 min.
Alternate Nostril
Breathing (Anulom Vilom) 5-7 min.
Skull Cleansing( Kapal Bhati)5-7 min.
Bee Breathing(Bhramari)3-4 min
Meditation(On Breathing)5-8 min.
1ヶ月後、両群とも再度上記ツールで評価を行った。
【結果】
その結果、ヨガグループでは介入前後でPSS-14、SSS両指標においてストレスレベルが有意に低下した(P<0.05)。
一方、対照グループでは両指標ともに改善が見られなかった(P>0.05)。
【結論】
プラナヤマと瞑想というヨガの介入を毎日実践することで、ストレスレベルの減少を示した。
ヨガは、大学生のストレスレベルに対してポジティブな効果をもたらす。
ヨガは、シンプルで安価な健康法であるため、学生でも簡単に取り入れることができ、他の日常活動のように日常生活の中に取り入れることができる。学生は精神的健康と身体的健康を同時に得ることができ、彼らの人生はバランスの取れたものになるだろう。
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・ホットヨガが、多面的に幸福、ウェルビーイングの向上に効果を示すという研究。
https://journals.copmadrid.org/pi/art/pi2022a4
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Hui, B. P. H., Parma, L., Kogan, A., and Vuillier, L. (2022). Hot Yoga Leads to Greater Well-being: A Six-week Experience-sampling RCT in Healthy Adults. Psychosocial Intervention , Ahead of print. https://doi.org/10.5093/pi2022a4
ホットヨガはより大きな幸福をもたらす:健康な成人における6週間の体験型サンプリングRCT
【背景】
定期的なヨガはflourishing心理的繁栄、eudaimonic well-beingユーダイモニックな幸福(後述)、hedonic well-beingヘドニックな幸福(ポジティブな感情を頻繁に経験すること)を促進することが示されている。また、怒り、疲労、惰性inertiaのコントロール、気分障害や不安の減少、高齢者のうつ状態の軽減、職場ストレスへの回復力の強化、さらには学校の成績向上などが明らかにされている。多くの研究が、定期的なヨガの包括的な幸福の指標に対する効果を実証している。
しかしホットヨガの心理的効果に関してはほとんど研究されていない。
【目的】
ホットヨガの多面的な幸福指標に対する効果を調査する。
【対象者および方法】
ヨガ未経験の健康なボランティア290名を対象。概ね18-60歳、約80%が女性。
ホットヨガ群と待機者コントロール群(6週間待機しヨガを行わない)に無作為に割り付けられた(無作為化対照試験)。
ヨガは1クラス90分、週に最大4クラスまで出席。6週間行った。
参加者は、スマートフォンを利用し、介入前と介入後の質問票に回答し、1日4回、感情的な経験を報告した。
各種質問票で以下を評価
・mindfulness:マインドフルネス
・peace of mind:心の平和
・life satisfaction:生活満足度
・general health:一般的な健康
・eudaimonic well-being:うまく機能して自己実現できているという幸福感
・flourishing:心理的繁栄 。人間の最適な機能を指し、意味と目的、良き人間関係、興味集中、他者への貢献、能力、自己受容、楽観、尊重されることの8つの中核要素からなる概念。
・Mental well-being :精神的幸福感
・Momentary emotions: 瞬間的な感情
【結果】
ホットヨガを行ったグループ(n = 137)は、待機者リストのコントロールグループ(n = 153)と比較して、治療前後で幸福度がより向上した。
これらの改善には、生活満足度、一般的な健康、マインドフルネス, 心の平和、eudaimonic well-beingが含まれた。
マルチレベル解析により、瞬間的なポジティブな感情体験は、試験期間中、ヨガ群のみで有意に増加し、特にヨガクラスに参加したときに増加した。
この瞬間的なポジティブな感情の増加は、介入後のマインドフルネス、心の平和、一般的な健康の改善を、それぞれ21%、31%、11%説明した。
ホットヨガの効果は、ベースラインのeudaimonic well-being、flourishing、精神的幸福のレベルが低い人ほど顕著であった。
【結論】
ホットヨガの複数の心理的な利点と効果的なポジティブ心理学的介入となる可能性が示された。
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・血管迷走神経失神の軽減にヨガが有効であるという研究
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35210069/
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Sharma G, Ramakumar V, Sharique M, Bhatia R, Naik N, Mohanty S, Agarwal A, Meti M, Shukla A, Deepti S, Bansal R, Gupta A, Ahmed AS, Pandey RM, Narang R, Mishra S, Saxena A, Juneja R; LIVE-Yoga Investigators. Effect of Yoga on Clinical Outcomes and Quality of Life in Patients With Vasovagal Syncope (LIVE-Yoga). JACC Clin Electrophysiol. 2022 Feb;8(2):141-149. doi: 10.1016/j.jacep.2021.09.007. Epub 2021 Nov 24. PMID: 35210069.
血管迷走神経失神患者におけるヨガの臨床的転帰とQOLへの影響(LIVE-Yoga)
【背景】
血管迷走神経失神(VVS)を繰り返す患者の生活の質(QoL)は著しく低下している。既存の非薬物治療はあまり効果がない。
最近の臨床試験では、自律神経失調症に対するヨガの効果が実証されており、VVSにおけるヨガの有用性の可能性が示唆されている。
【目的】
血管迷走神経失神を再発した患者において、標準治療の補助としてヨガを行う場合と標準治療単独で行う場合の症状への影響を明らかにすること。
【対象者および方法】
VVS再発患者を、現行のガイドラインに基づく治療に加え、専門的なヨガトレーニングプログラムを受ける群(介入群、第1群)、現行のガイドラインに基づく治療のみを受ける群(対照群、第2群)のいずれかに無作為に割り付けた。
主要アウトカムは,12 ヵ月後の失神および前失神(前兆、失神寸前)のエピソード数の複合とした.
副次的アウトカムとして,12ヵ月時点のWHO QoL-BREFスコア(World Health Organization Quality of Life Brief Field questionnaire)およびSyncope Functional Status QuestionnaireスコアによるQoL評価,6週時点のヘッドアップティルトテスト,心拍変動とした.
【結果】
合計55名の患者を対象とし、両群に無作為に割り付けた。
12ヵ月後の失神・前失神の平均事象数は、介入群0.7±0.7に対し、対照群2.52±1.93であった(P<0.01)。
介入群では、13人(43.3%)の患者がイベントなしの状態を維持したのに対し、対照群では4人(16.0%)であった(P = 0.02)。
12ヵ月後のQoLでは、すべてのSyncope Functional Status QuestionnaireスコアとWHOQoL-BREFスコアの2つのドメインで有意な改善がみられた(P < 0.05)。
【結論】
ヨガを補助療法として用いることは、再発性VVS患者の症状の軽減とQoLの改善において、標準療法単独よりも優れている。
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・動悸や不整脈を有する人に対してヨガが有効であるというレビュー論文。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33840974/
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Sharma G, Mooventhan A, Naik G, Nivethitha L. A Review on Role of Yoga in the Management of Patients with Cardiac Arrhythmias. Int J Yoga. 2021 Jan-Apr;14(1):26-35. doi: 10.4103/ijoy.IJOY_7_20. Epub 2021 Feb 5. PMID: 33840974; PMCID: PMC8023436.
心臓不整脈患者の管理におけるヨガの役割に関するレビュー
【背景】
不整脈に関連する様々な危険因子、生活の質(QoL)、心理的負担の軽減において、ヨガが安全で効果的であることが示唆されている。
【目的】
不整脈におけるヨガの役割をシステマティックレビューにて評価する。
【対象者および方法】
2018年1月3日までに各種データベースを用いて文献検索を行った。240の論文のうち、条件に合致する6つの論文を特定し、レビューに含めた。RCT2件、自己対照試験2件、単群事前試験・事後試験実験研究1件、ケースシリーズ1件であった。
【結果】
ヨガの実践時間は1日45分-60分、週に1-6日、期間は2-3ヶ月であった。 すべての研究で、プラナヤマまたは深呼吸の実践が最もよく行われていた
ヨガは、不整脈(発作性心房細動、心室性不整脈、動悸)関連の健康関連QoL、血圧、心拍数、抑うつ、不安のスコアを減少させた。心房細動エピソードの数の減少に有効であった。
ヨガは、心室性不整脈の患者において、QT時間の平均値を有意に減少させた(→ 要するに心臓リスクを軽減)。
ヨガは、動悸のエピソード、傾斜負荷時の期外収縮出現頻度を低下させた。
【結論】
ヨガは、不整脈患者の健康関連QoLを向上させる効率的な補助療法と考えられる。
しかし、無作為化比較試験や効果の明確なメカニズムは不明であり、更なる研究を要する。
既存の文献に基づいて、当レビューでは、不整脈の負担を軽減するために以下ヨガの練習を45〜60分/日、少なくとも週に3日行うことを提案する。
(1) 関節運動(ウォームアップ)(10分)、
(2) sukhasana、bitilasana、adhomukhavirasana、dandasana、janusirsana、tadasana、uttanasana、pavanamuktasana、shavasanaなどのアサナ(15~25分)
(3) ゆっくりとした深い呼吸やdirghapranayama、nadishodhana、bhramari、ujjayi、udgitなどのプラナヤマ(OMチャンティング)(10~15分)
(4)シャバサナでのリラックスと瞑想(10分)
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・ヨガベースの瞑想は睡眠の質の向上や疲労軽減、抗うつに効果的であるという研究。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35162267/
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Kim DY, Hong SH, Jang SH, Park SH, Noh JH, Seok JM, Jo HJ, Son CG, Lee EJ. Systematic Review for the Medical Applications of Meditation in Randomized Controlled Trials. Int J Environ Res Public Health. 2022 Jan 22;19(3):1244. doi: 10.3390/ijerph19031244. PMID: 35162267; PMCID: PMC8834867.
無作為化比較試験における瞑想の医学的応用に関する系統的レビュー
【背景】
瞑想は、注意、意識、感情に関する自己調整の心理的能力を向上させることを目的とした精神修養法である。宗教的および文化的信念だけでなく、それ自体として、またはヨガ、気功、太極拳、マインドフルネスベースの介入(MBI)などの”mind–body practice”の構成要素として健康増進を目的に活用されている。瞑想を実践する人は増加傾向で米国の一般成人の14.2%ほどである。
しかしながらその有益な効果に関しては、医療応用に関する異質性(バラツキ)と方法論の相違のために判断が難しい。
【目的】
本研究は、無作為化比較試験(RCT)における治療的瞑想の特徴を統合することを目的とした。
【対象者および方法】
2021年6月までのPubMedデータベースを用いて,疾患を持つ集団に対する瞑想によるRCTのシステマティックレビューを実施した。疾患・障害の特徴,参加者,測定方法,全体的な効果について分析した。
【結果】
合計4855の文献のうち、104のRCTが選択基準を満たした。主にマインドフルネスベース(51 RCT)、ヨガベース(32 RCT)、超越瞑想(14 RCT)であり、患者-参加者は合計10,139人(男性3117人と女性7022人)出会った。これらのRCTは、合計45種類の疾患を持つ参加者を対象に実施され、最も頻度が高いのはがん、次いで筋骨格系および結合組織系疾患、感情気分障害であった。
抑うつ気分、不安感、QOL、ストレス、睡眠、痛み、疲労の7つの症状や徴候の評価が多かった。
主要アウトカム(41種類の測定値)から、上位3つは疼痛、抑うつ気分、不安感であり、これらは50%の陽性率(有効)に達しなかった(それぞれ27.3%、40.0%、37.5%)。QoL(71.4%)、ストレス(57.1%)、睡眠(66.7%)、PTSD症状(80.0%)、血圧(66.7%)、眼圧(66.7%)、疲労(100.0%)は半分以上の割合で陽性(有効)となった。
全てのアウトカムを含めると、睡眠と疲労については比較的高いポジティブな結果の比率(それぞれ 73.9% と 68.4%)を示し、次いでストレス(48.4%)、うつ気分(42.9%)、痛み(40.9%)、QoL(40.6%)、不安感(35.0%)の順であった。
3大瞑想的介入のうち、ヨガベース(67アウトカム中53.7%)は、マインドフルネスベース(113アウトカム中45.3%)および超越瞑想(29アウトカム中31.0%)よりもわずかに高い陽性アウトカムが示された(効果がより期待できる)。
【結論】
この系統的レビューは、治療的瞑想に関するRCTの包括的な特徴を示した。
医療における瞑想は、睡眠の質の向上や疲労軽減、抗うつに効果的である。特に精神障害を患っている患者においてより効果が期待できる。
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・糖尿病患者の治療にヨガ療法を追加すると有意な影響を与えるという研究。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35089124/
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Mangala Gowri M, Rajendran J, Srinivasan AR, Bhavanani AB, Meena R. Impact of an Integrated Yoga Therapy Protocol on Insulin Resistance and Glycemic Control in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus. Rambam Maimonides Med J. 2022;13(1):e0005. Published 2022 Jan 27. doi:10.5041/RMMJ.10462
2型糖尿病患者のインスリン抵抗性と血糖コントロールに対する統合的なヨガ療法プロトコルの影響
【背景】
慢性的な高血糖を特徴とする糖尿病(DM)は、相対的インスリン欠乏またはインスリン抵抗性、あるいはその両方に起因するとされている。
ヨガがインスリン抵抗性のパラメーターを調整することが研究で示されている。
【目的】
本研究では、糖尿病患者を対象に、血糖コントロールとインスリン抵抗性(IR)に関して、標準的な経口薬による治療を受けた患者と、ヨガ療法を追加した患者を比較し、ヨガの統合治療の有益性の可能性について検討する。
【対象者および方法】
糖尿病クリニックを受診した患者から無作為に選択、35名の2型糖尿病患者をヨガ介入群とし、同数のボランティアを対照群とした。
対象者は両群ともに30-70歳で、ヘモグロビンA1c(HbA1c)が7%以上であり、食事療法と経口糖尿病薬による治療をしていた。血液サンプルは、ヨガ療法介入前と120日後に採取された。介入群と対照群の両方で、空腹時血糖値(FBG)、食後血糖値(PPBG)、HbA1c、インスリン、脂質プロファイルを評価した。
ヨガ介入群は、週2回の指導セッションを10回行い、また自宅で週2回実践するように指示された。
ヨガのプロトコールは、リンクの論文に記載あり。一応添付ファイルも付けました。英語ですが。
【結果】
介入群では、
ボディマス指数(BMI)(0.7 kg/m2 中央値低下、P=0.001)、
空腹時血糖値(FBG)(20 mg/dL 中央値低下、P<0.001)、
食後血糖値(PPBG)(33 mg/dL 中央値低下、P<0.001)、
HbA1c (0.4% 中央値低下、P<0.001)、
HOMA-IR (インスリン抵抗性の指標)(1.2 mg/dL 中央値低下、 P<0.001)
コレステロール(13 mg/dL減少;P=0.006)、
中性脂肪(22 mg/dL減少;P=0.027)、
低密度リポタンパク質(LDL)(6 mg/dL減少;P=0.004)、
超低密度リポタンパク質値(VLDL)(4 mg/dL減少;P=0.032)
が有意に改善した。
高密度リポ蛋白(HDL)の120日後の増加は有意ではなかった(6mg/dLの中央値の増加;P=0.15)。しかし、対照群の患者において観察された変化と比較すると、これらの改善はすべて有意であった。
【結論】
糖尿病患者への統合的なヨガ療法の実施は、血糖コントロール、インスリン抵抗性、脂質代謝など主要な生化学的パラメータの有意な改善をもたらす。
なお、上記の生理的、生化学的な変化には、ヨガによる感情的、心理的変化も影響していると推測している。
・感情的変化→服薬や食事療法のコンプライアンス改善、身体活動促進
・心理的変化→ストレス軽減
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・ヨガ実践は健康状態や学業成績向上に有用であるというレビュー。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35072120/
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Dalpati N, Jena S, Jain S, Sarangi PP. Yoga and meditation, an essential tool to alleviate stress and enhance immunity to emerging infections: A perspective on the effect of COVID-19 pandemic on students. Brain Behav Immun Health. 2022 Mar;20:100420. doi: 10.1016/j.bbih.2022.100420. Epub 2022 Jan 19. PMID: 35072120; PMCID: PMC8767968.
ヨガと瞑想、ストレスを緩和し新興感染症に対する免疫力を高めるために不可欠なツール:COVID-19パンデミックによる学生への影響についての考察
【背景】
COVID-19のパンデミックは、世界の医療と経済システムに悪影響を及ぼしている。また、COVID-19のパンデミックは、経済状態や身体的な健康に関係なく、あらゆる年齢層の人々の間に感情的・心理的なパンデミックを引き起こしている。
長引くロックダウンの結果、世界的に最も深刻な影響を受けている年齢層の1つが若年層、特に学生である。ロックダウンの間、学業日程の不確実性、屋外活動の制限、社会的つながりの減少、電子機器との接触時間が増加、スクリーンタイムの延長など、普段と異なる日常生活により、世界中の学生の間でストレス、不安、うつ病の発生率が高くなった。
【文献的考察】
定期的なヨガ、プラナヤマ(呼吸法)、その他の自己啓発のルーチンが、さまざまなパラメーターにおいて有益な効果をもたらす様々なエビデンスがある。
・精神的ウェルビーイング(例:注意力、集中力、記憶力、覚醒度、睡眠の質)。
・感情的ウェルビーイング(ストレス、不安、憂鬱の軽減など)
・身体的ウェルビーイング(例:筋骨格系の強度、強度と柔軟性)
(生理学的プロセス(例:代謝)や免疫防御機構(呼吸器の健康、炎症の軽減、自然免疫細胞および適応免疫細胞の機能向上)も含む)
ヨガと瞑想を定期的に実践することは、学生の生理的、感情的、免疫的要因にプラスの影響を与え、彼らの健康状態や学業成績に影響を与える可能性があると考えられる。
さらに、長期の閉鎖期間中は、適切な栄養摂取、十分な睡眠習慣、ソーシャルメディアや誤ったニュースへの接触を減らす、家族や関係当局からのサポートなど、の対策が、学生のウェルビーイングを改善し、不安を軽減するのに役立つと考えられる。
【結論】
定期的なヨガの練習やその他の自己啓発の習慣を学生の教育カリキュラムに加えたり、課外活動や習熟度別プログラムで毎日練習することは、若い世代が日々の挑戦やロックダウンやパンデミックなどのストレスの多い状況を乗り越え、ウェルビーイングを得ることに役立つと思われる。
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・ヨガは他の運動介入と比べ成人喘息患者の呼吸機能改善効果が高い
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37563090/
—
Xing S, Feng S, Zeng D. Effect of exercise intervention on lung function in asthmatic adults: a network meta-analysis. Ann Med. 2023;55(2):2237031. doi: 10.1080/07853890.2023.2237031. PMID: 37563090.
成人喘息患者の肺機能に対する運動介入の効果:ネットワークメタ分析
【背景】
気管支喘息は遺伝的要因と環境的要因双方の影響を受けており、世界中で約 3 億 3,900 万人という多くの人々に影響を及ぼしている。
運動は、急性喘息発作を誘発したり悪化させたりすると考えられてきたため、従来は喘息患者にとって禁忌とみなされてきた。しかし、科学的で適切な運動トレーニングにより、喘息患者の呼吸機能と運動能力を効果的に改善・向上させることができることが証明されている。
【目的】
本研究では、Network Meta-analysisを用いて、成人喘息患者の肺機能に対するさまざまな種類の運動の効果を比較することを目的とした。
【対象者および方法】
各種電子データベースを用いて、喘息成人患者における肺機能に対する運動の効果を検討したランダム化比較試験(RCT)を包括的に検索、文献収集し、統計解析を行った。
【結果/考察】
最終的に28のランダム化比較試験が組み入れられ、2,155人の喘息患者を対象とした。
ネットワークメタ解析の結果、
呼吸トレーニング(BT;breathing training)
有酸素トレーニング(AT;aerobic training)
リラクゼーショントレーニング(RT;relaxation training)
ヨガトレーニング(YG;yoga training)
呼吸と有酸素トレーニングを組み合わせたトレーニング(BT+AT)
は、対照群と比較して、1秒量(FEV1; Forced Expiratory Volume in the first second)を改善することが示された;
AT、BT、YG、BT+ATは、努力性肺活量(FVC;Forced Vital Capacity)を改善した。
BT、AT、RT、YG、BT+ATは、ピーク呼気流量(PEF;Peak Expiratory Flow)を改善した。
BT、AT、YGは、1秒量/努力性肺活量(FEV1/FVC)を改善した。
SUCRA確率ランキングの結果、
RTはFEV1[SMD=1.13,95%CI(0.83,1.43),p<0.001]の改善に対して最も有意な効果を示し、
BT+ATはFVC[SMD=0.71,95%CI(0.47,0.95),p<0.001]の改善に対して最も有意な効果を示し、
YGはPEF[SMD=0.79,95%CI(0.55,1.02),p<0.001]の改善に対して最も有意な効果を示した。
※ 「Surface under the cumulative ranking」(SUCRA)は、複数の治療法や戦略を比較するための方法の一つ。「その治療法が上位にランクインする確率」を表している
参考 https://www.ttoku3.com/statistics/375
ATと組み合わせたBTは、主に運動中の呼吸機能の強化を通じて、成人喘息患者の身体的・心理的状態を改善することができる。胸式呼吸と腹式呼吸の組み合わせは、腹式呼吸に重点を置くことで、横隔膜の収縮を高め、横隔膜の起伏を容易にし、胸腹圧を連続的に変化させることで呼吸器機能を改善する。
YGでは主に、ひねり(twisting)、前屈、後屈の姿勢をとり、血液循環、代謝、胸腔容積を高めることができる。さらにYGの呼吸技術は、内臓をマッサージしてその機能を向上させる。特異的な呼吸トレーニングにより、肺内の横隔膜が活性化され、肺胞の可動性が高まり、呼吸サイクル中の筋活動と協調性が改善される。その結果、肺内圧が大幅に変化し、肺胞の拡張と収縮が促進され、気道抵抗が減少し、肺の換気とガス交換が促進される。したがって、BT+ATおよびYGは、成人喘息患者の肺機能を高めるための最も効果的な介入法であると考えられる。
【結論】
呼吸トレーニング+有酸素トレーニングおよびヨガトレーニングは、成人喘息患者の肺機能改善においてより有利である可能性がある。
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・遠隔ヨガが、睡眠時無呼吸患者の心肺機能、認知機能、睡眠を改善させた
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37536116/
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Eyuboglu F, Inal-Ince D, Karamancioglu B, Vardar-Yagli N, Kaya-Utlu D, Dalkilic O, Somay G. Effect of tele-yoga on aerobic capacity, respiratory muscle strength, and cognitive performance in patients with obstructive sleep apnea syndrome. Heart Lung. 2023 Aug 1;62:157-167. doi: 10.1016/j.hrtlng.2023.07.005. Epub ahead of print. PMID: 37536116.
閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者の有酸素運動能力、呼吸筋力、認知能力に及ぼす遠隔ヨガの効果
【背景】
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS;Obstructive sleep apnea syndrome)は、有酸素運動能力、呼吸筋力、認知機能の低下を引き起こし、健康関連QOLに悪影響を及ぼす。
【目的】
遠隔ヨガ(TY;tele-yoga)を実践しているOSAS患者と実践していないOSAS患者において、有酸素運動能力、呼吸筋力、認知能力、機能的能力、睡眠の質、日中の眠気を比較すること。
【対象者および方法】
44名のOSAS患者(男性40名、女性4名)をTY群と対照群に無作為に割り付けた。
TY群では、グループベースのTYセッションを1日60分、週3日、12週間行った。
対照群は、1日4回、12週間、自宅で指導なしの胸郭拡張運動を行った。
ベースライン時、6週目、12週目の終了時に以下の項目を評価した:
・吸気,呼気呼吸筋力 inspiratory and expiratory respiratory muscle strength (MIP, MEP),
・心肺運動負荷試験 cardiopulmonary exercise test,
・Corsi Block Tapping Test (CBTT) ※ 空間記憶に関連する作業記憶を測定するテスト
・Stroop TBAG test, ※ 認知機能や注意力を評価するテスト
・6分間歩行試験 six-minute walk test (6MWT),
・Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI) ※ 睡眠の質の指標
・Epworth Sleepiness Scale (ESS). ※眠気の程度
【結果】
TYは、対照群と比較して、MIP、運動負荷試験パラメータ(VE、HRmax、%HR、最初の1分間の心拍数回復、RQmax)、CBTT(forward)、Stroop TBAGテストのスコア(parts of 3,4,5)を有意に改善した(p<0.05)。
TY群では対照群と比較して6MWTに有意な変化はみられなかった(p>0.05)。
睡眠時間(分)、睡眠効率、PSQIの睡眠の質、ESSスコアは、対照群と比較してTY群で有意に改善した(p<0.05)。
【結論】
遠隔ヨガは閉塞性睡眠時無呼吸患者の健康関連パラメーターを改善するので、CPAP治療に加えて運動法として取り入れることを提案する。
※ CPAP治療;閉塞性睡眠時無呼吸の標準的な治療
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・認知症患者の予測を超えた多くの行動によって高まる介護者の身体的、精神的ストレスにヨガが有効である
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37070342/
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Parkman S, Olausson J. Efficacy of yoga for caregivers of persons with dementia: An integrative review. Scand J Caring Sci. 2023 Apr 18. doi: 10.1111/scs.13172. Epub ahead of print. PMID: 37070342.
認知症患者の介護者に対するヨガの有効性: 統合的レビュー
【背景】
認知症は進行性であり、脆弱になりやすく、他者の介護が必要になりやすい。認知症患者は自宅で介護されることでより良い結果を得られることが多いが、介護者の個人的な課題やセルフネグレクトにつながることもある。
ヨガのようなマインドフルネスに基づく介入は、認知症患者の介護者が遭遇する潜在的な悪影響を軽減することができる。
【目的】
認知症患者の介護者の生物心理社会的健康アウトカムに対するヨガの役割に関連する利用可能な実証的研究を総合することである。
【対象者および方法】
各種データベースにおいて、「ヨガ」「介護者または家族、インフォーマル介護者」「認知症またはアルツハイマー病」という用語を用いた系統的検索を実施した。条件に合致し、質の保たれた、4つの論文が対象となった。
【結論】
2つのランダム化比較試験、待機者リストを用いた非ランダム化介入研究、パイロットコホート研究の4つの研究がこのレビューに含まれた。3つの研究はインフォーマルな介護者に焦点を当て、1つの研究は専門的な介護者を対象としたものであった。
すべての研究において、ヨガの実践にはアーサナ、プラナヤマ、リラクゼーション、瞑想が含まれていた。
この統合的レビューでは、ヨガはストレス、うつ病、不安を軽減し、QOL指標、活力指標、セルフコンパッションスコア、マインドフルネス注意、睡眠の質、拡張期血圧を改善するのに有用であることが示された。
有意な変化が見られなかったアウトカムは、介護者の負担、収縮期血圧、心拍数だった。
しかし、エビデンスレベルは中程度で、サンプルサイズが小さいため、より大きなサンプルサイズで十分に設計されたランダム化比較試験を含む追加研究が必要である。
【結論】
認知症患者の介護者のQOL改善等の一手段としてヨガを提案できる。
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・尿漏れの予防、改善や便秘の改善のための骨盤底筋トレーニングにヨガが効果的である
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37247569/
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Blagg M, Bolgla L. The relative activation of pelvic floor muscles during selected yoga poses. Complement Ther Clin Pract. 2023 May 19;52:101768. doi: 10.1016/j.ctcp.2023.101768. Epub ahead of print. PMID: 37247569.
ヨガのポーズを選択した際の骨盤底筋の相対的活性化
【背景】
骨盤底筋pelvic floor muscle(PFM)機能障害を持つ患者には、体幹の安定化エクササイズが有効である。
ヨガは、中程度から高い体幹の活動を生み出すことができるポピュラーな活動であり、この患者集団に有益であることが示されている。ヨガ中のPFMの活動に関するデータは存在しない。PFMの活動を決定することは、エビデンスに基づいた運動プログラムを開発するための重要な情報を提供することになる。
【目的】
ヨガのポーズのPFMの相対的な活性化を明らかにすること。
【対象者および方法】
クロスセクションデザイン。
肛門周囲表面EMGセンサーを使用して、肛門挙筋 levator ani (LA)の活性化を捉えた。
最大随意等尺性収縮 maximum voluntary isometric contraction(MVIC)のピーク時の活動は、100%の活動を表す。
テストでは、被験者は次のポーズを30秒間保持した:
・ローカスト locust
・モディファイドサイドプランク modified side plank;
・サイドアングル side angle
・両手を握りしめたフロントプランク hands-clasped front plank.
各ポーズの5秒から25秒までのEMG活動の平均値を、MVICの100%(%MVIC)として表現し、分析した。
【結果】
ローカストで最も活動的であった(63.5 %MVIC).サイドアングル(35.3 %MVIC)は、サイド(29.1 %MVIC)およびフロントプランク(26.3 %MVIC)よりも大きな活動を必要とした。ローカストの活動量は、すべてのポーズよりも有意に大きく(P < 0.001)、サイドアングルの活動量は、フロントおよびサイドプランクよりも有意に大きかった(P < 0.01)。
【結論】
ローカスト中のLA活性は非常に高く、筋力増強に十分であった。
サイドアングル、フロントプランク、サイドプランク時のLA活性化は、持久力および/またはPFMの神経筋制御の向上に最適であると考えられる。
本研究で得られた知見は、ヨガのポーズによってPFMの活性化レベルが異なることを示し、PFM機能障害に関連する病態を持つ患者に有益であると考えられる。
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ヨガと瞑想は子どもの注意欠陥・多動性障害(ADHD)の補助的治療法として有益である。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37065343/
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Gonzalez NA, Sakhamuri N, Athiyaman S, Randhi B, Gutlapalli SD, Pu J, Zaidi MF, Patel M, Atluri LM, Arcia Franchini AP. A Systematic Review of Yoga and Meditation for Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder in Children. Cureus. 2023 Mar 14;15(3):e36143. doi: 10.7759/cureus.36143. PMID: 37065343; PMCID: PMC10101238.
子どもの注意欠陥・多動性障害(ADHD)に対するヨガと瞑想の系統的レビュー
【背景】
注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、神経発達障害に分類される。有病率は、子どもで約5%、成人で約2.5%と推定されている。ADHDの人は、注意を払うことに苦労し、常に活動的でありたいという衝動を経験し、衝動的である。ADHDの子どもは、社会的に溶け込むこと、仲間を見つけること、対人関係を形成することに苦労することが多い。この疾患が小児のQOLに及ぼすさまざまな悪影響を認識することは不可欠である。
治療として薬物療法、認知行動療法(CBT)などがあるが、症状を改善する補助療法として、ヨガと瞑想がある。
【目的】
ヨガや瞑想などの、ADHDに対する治療法としての可能性を評価すること。
【対象者および方法】【結果】
文献データベースPubMedとGoogle Scholarから検索、51,675件の論文から、スクリーニングと品質チェックを通過した10件の論文を選び、詳細な分析を行った。
ヨガや瞑想は、ADHDの子どもたちの注意力、多動性、衝動的な行動など、さまざまな症状にポジティブな影響を与えることが確認された。
また、家族のグループセッションで行えば、両親や家族のダイナミクスにも効果があり、家族療法の選択肢の可能性が示唆された。
さらに、不安や低い自尊心など、他の心理的症状も、これらの介入によってプラスの影響を受ける。
【結論】
ヨガと瞑想はADHDの子どもたちにポジティブな影響を与えた。
ヨガと瞑想はADHDの治療法として単独で使用するよりも、補助的な治療法として有益である可能性がある。
しかし、研究の数が限られており、より大規模で質の高い研究が必要である。
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・新型コロナウイルスに対するヨガの有用性について
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36525872/
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Capela Santos D, Jaconiano S, Macedo S, Ribeiro F, Ponte S, Soares P, Boaventura P. Yoga for COVID-19: An ancient practice for a new condition – A literature review. Complement Ther Clin Pract. 2022 Dec 13;50:101717. doi: 10.1016/j.ctcp.2022.101717. Epub ahead of print. PMID: 36525872; PMCID: PMC9744485.
COVID-19のためのヨガ – 文献レビュー
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要旨
COVID-19感染後、神経心理学的症状を含む様々な遷延症状や後遺症に苦しむ患者が少なくない。WHOは、感染から2ヵ月間以上持続する場合を「post-COVID-19 condition」と定義している。post-COVID-19 conditionの発症頻度は研究によって大きく異なり、COVID-19患者の4〜80%と言われている。
ヨガは、身体的、精神的、感情的、スピリチュアルな強さとつながりを高める精神身体的なアプローチ(psycho-somatic approach)である。ヨガの実践は、生来の免疫力と精神的な健康を高めるので、COVID-19治療、すなわちpost-COVID-19 conditionにおける補完療法として活用することができる。
この論文では、ヨガとCOVID-19に関する文献調査を行い、アサナ、プラナヤマ、瞑想からなる介入がこれらの患者の回復のための戦略として選択される可能性があることを提案する。しかし、このような未知の状況下での有効性を示すためには、さらなる研究が必要である。
・ヨガは、身体、心、意識を結びつけるという全体観的原則を有している。それは、肉体、精神、感情からスピリチュアルのスペクトル、人生のすべての部分を平衡させる精神体的なアプローチ(psycho-somatic approach)である。
・プラナヤマや瞑想を含むヨガの実践は、ストレスや炎症を調節し、免疫システムを強化する可能性があり、感染問題に対する潜在的意義を有する。
・ヨガは迷走神経刺激を増加させることで、闘争や逃走(fight or flight)のストレス反応を減少させることができる 。心理社会的ストレスは、感染に対する免疫力を低下させ、宿主の炎症反応を過剰に刺激し、組織損傷や死に至ることもある 。
ヨガの実践は、ストレスに対する視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸反応のダウンレギュレーションを介して、ストレスとストレス誘発性障害の管理に役立ち、そして副交感神経活動を改善する 。
視床下部の交感神経領域の抑制は、ストレス刺激に対する身体の交感神経反応を最適化し、ストレスに関連した自律調節反射機構を再確立する。
副交感神経の優位な状態を可能にすることに加えて、ヨガは末梢組織による酸素の効果的利用を促進する可能性もある。
・ヨガは脳の活性化パターンを変化させ、痛みの知覚を変化させる。不安の減少や集中力の増加を促す。
・ヨガの目的は身体的なポーズを土台の1つとして精神的な修正をコントロールすることである。このため、アーサナは他の一般的な身体的運動とは異なり、ゆっくりとした動き、呼吸の調和、マインドフルな意識で行われる。一般的な身体運動と比較して、ヨガは健康関連の状態を改善するのに有効である可能性がある。
・ヨガと瞑想は、精神的ストレスと不安の緩和に役立つことが知られており、心理的ウェルビーイングにプラスの影響を与える。そのため、ヨガは社会から離脱し、孤立したCOVID-19患者の心理社会的側面や回復において、すなわち不安感情の調整を通じて重要な役割を持つ可能性がある。
・ストレス、不安、うつ病は、ウイルス性上気道感染症に対する感受性の増加と関連している可能性があり、心理的苦痛とCOVID-19感染に対する脆弱な免疫反応の間の関連は、生物学的な妥当性が示唆される。
・ヨガの実践は、自然免疫と精神的健康を高めるための潜在的な戦略であり、COVID-19の補助的治療として活用することが正当化される。その免疫強化・適正化の可能性により、ヨガは免疫の過剰反応を防ぎ、病気の重症度を減少させるかもしれない。
・COVID-19の初期段階において、ヨガの介入は、抗炎症、抗酸化、免疫強化により、間接的な抗ウイルス効果をもたらす可能性がある
・COVID-19におけるヨガの有用性を直接示した研究は今のところ存在しないが、急性上気道感染症、閉塞性肺疾患などの類似の症状に対する効果から有用性が推測されている
・ヨガの多くの研究では、エビデンスが強固ではないが、ヨガは生理学的および生化学的パラメータにプラスの影響を与え、生活の質を向上させるためのシンプルで安全かつ低コストの治療代替手段である。
・ヨガは誰でも行うことができ、インフラを必要とせず、COVID-19パンデミック時のような社会的孤立の時期にも個人で簡単に実践できる。遠隔ヨガ形式でのセッションも可能である。
・プラナヤマの実践は、吸気筋と呼気筋を強化することによって肺機能と肺活量を改善し 、生命維持能力を高め、心拍数を低下させ、収縮期血圧を低下させる。1分間に6~10回のゆっくりとした呼吸は、横隔膜の活性化によって達成される一回換気量
の増加を伴う「自律的に最適化された呼吸」である 。
長時間の呼気を伴うプラナヤマで、ストレスや脳の緊張を和らげ、COVID-19患者のうつ、不安、不眠を管理するのに役立つ
・COVID-19は、易疲労が一般的な症状の一つであるため、患者に提案するアサナは倦怠感を引き起こさないよう、簡単に行えるものであるべき。等尺性(アイソメトリック)アサナは、COVID-19後の症状と共通する症状である慢性疲労症候群(CFS)に対して活用されている。CFSにおけるアイソメトリックアサナの実践により、血中バイオマーカーの変化により、有意な疲労の改善が報告されている 。
・瞑想は、COVID-19患者の炎症 マーカーに有意な影響を与え、回復期間を短縮させる傾向が示唆される。瞑想は、リラクゼーションと注意の訓練のメカニズムを通じて、特に神経可塑性を高める可能性があり、COVID-19患者の回復を促す。
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ヨガは、乳がん患者の治療中のQOLを高め、治療へのアドヒアランスを向上させる
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35398542/
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Selvan P, Hriso C, Mitchell J, Newberg A. Systematic review of yoga for symptom management during conventional treatment of breast cancer patients. Complement Ther Clin Pract. 2022 Apr 6;48:101581. doi: 10.1016/j.ctcp.2022.101581. Epub ahead of print. PMID: 35398542.
乳がん患者の通常治療中の症状管理のためのヨガに関する系統的レビュー
【背景】
乳がんは、米国で女性が最も多く診断されるがんの一つであり、その治療には身体的、心理的な副作用や長期的な合併症があり、深刻な病状やQOLの低下を引き起こす。ヨガのような統合医療は、治療そのものを妨げることなく、従来の治療の副作用を軽減し、QOLを向上させることが期待できる。
【目的】
従来の乳がん治療を受けている患者における症状管理のための潜在的な選択肢として、ヨガについて検討する。
【対象者および方法】
各種データベースを検索,条件に合致する28 件の無作為比較試験(RCT)論文を得た。我々は、この患者集団におけるヨガの影響に関するこれらの試験結果をレビューする。
【結果】
全体として、RCT論文の大半は、QOL、疲労、吐き気/嘔吐、睡眠の質、不安、うつ、苦痛の様々な側面において、ヨガ介入による有意なメリットを示していた。ヨガの効果の背後にある生理学的なメカニズムを探求した研究がいくつかあり、ヨガが免疫反応と炎症の両方に影響を与えることが示唆された。
【結論】
ヨガは乳がん患者の症状管理における潜在的な治療的役割を持ち、治療中のQOLを高め、治療へのアドヒアランスを向上させる。
乳がん患者におけるヨガ療法の潜在的な利用を十分に理解するためには、より明確で一貫した方法論による今後の研究が必要である。
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ヨガベースの瞑想は比較的有効性が高い
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35162267/
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Kim DY, Hong SH, Jang SH, Park SH, Noh JH, Seok JM, Jo HJ, Son CG, Lee EJ. Systematic Review for the Medical Applications of Meditation in Randomized Controlled Trials. Int J Environ Res Public Health. 2022 Jan 22;19(3):1244. doi: 10.3390/ijerph19031244. PMID: 35162267; PMCID: PMC8834867.
無作為化比較試験における瞑想の医学的応用に関する系統的レビュー
【背景】
瞑想は、注意、意識、感情に関する自己調整の心理的能力を向上させることを目的とした精神修養法である。宗教的および文化的信念だけでなく、それ自体として、またはヨガ、気功、太極拳、マインドフルネスベースの介入(MBI)などの”mind–body practice”の構成要素として健康増進を目的に活用されている。瞑想を実践する人は増加傾向で米国の一般成人の14.2%ほどである。
しかしながらその有益な効果に関しては、医療応用に関する異質性(バラツキ)と方法論の相違のために判断が難しい。
【目的】
本研究は、無作為化比較試験(RCT)における治療的瞑想の特徴を統合することを目的とした。
【対象者および方法】
2021年6月までのPubMedデータベースを用いて,疾患を持つ集団に対する瞑想によるRCTのシステマティックレビューを実施した。疾患・障害の特徴,参加者,測定方法,全体的な効果について分析した。
【結果】
合計4855の文献のうち、104のRCTが選択基準を満たした。主にマインドフルネスベース(51 RCT)、ヨガベース(32 RCT)、超越瞑想(14 RCT)であり、患者-参加者は合計10,139人(男性3117人と女性7022人)出会った。これらのRCTは、合計45種類の疾患を持つ参加者を対象に実施され、最も頻度が高いのはがん、次いで筋骨格系および結合組織系疾患、感情気分障害であった。
抑うつ気分、不安感、QOL、ストレス、睡眠、痛み、疲労の7つの症状や徴候の評価が多かった。
主要アウトカム(41種類の測定値)から、上位3つは疼痛、抑うつ気分、不安感であり、これらは50%の陽性率(有効)に達しなかった(それぞれ27.3%、40.0%、37.5%)。QoL(71.4%)、ストレス(57.1%)、睡眠(66.7%)、PTSD症状(80.0%)、血圧(66.7%)、眼圧(66.7%)、疲労(100.0%)は半分以上の割合で陽性(有効)となった。
全てのアウトカムを含めると、睡眠と疲労については比較的高いポジティブな結果の比率(それぞれ 73.9% と 68.4%)を示し、次いでストレス(48.4%)、うつ気分(42.9%)、痛み(40.9%)、QoL(40.6%)、不安感(35.0%)の順であった。
3大瞑想的介入のうち、ヨガベース(67アウトカム中53.7%)は、マインドフルネスベース(113アウトカム中45.3%)および超越瞑想(29アウトカム中31.0%)よりもわずかに高い陽性アウトカムが示された(効果がより期待できる)。
【結論】
この系統的レビューは、治療的瞑想に関するRCTの包括的な特徴を示した。
医療における瞑想は、睡眠の質の向上や疲労軽減、抗うつに効果的である。特に精神障害を患っている患者においてより効果が期待できる。